フォルクスワーゲン・ポロ セダンとシュコダ・ラピッドのリアサスペンションは、 単純で信頼性の高い半独立トーションビームです。部品が少なく、壊れるところ もほとんどありません。だからこそ、この車の後ろから打音がすると「見るとこ ろがないのに鳴る」と不思議がられます。実際には音源はいくつかしかなく、音 が出る条件でよく見分けられます。順に見ていきましょう。

リアビームで鳴りうるもの

ビームはブッシュ二個を介してボディに取り付けられています。位置を保ち振動 を吸収するゴムと金属の筒です。これが第一の、そして最も多い音源です。ゴム は時間とともに裂け、弾力を失い、ガタが出て、段差でビームが口を開き始めま す。

第二の音源はダンパーです。ロッドの摩耗や打たれて痩せたアッパーマウントは、 車体の動きに同期した鈍い打音を出します。うねった路面で特に目立ちます。第 三はバンプストップとブーツです。崩れたバンプストップは、縮み側のストロー クのたびに金属同士の当たりに変えてしまいます。第四は締結部です。ボルト、 座からずれたスプリング、そしてトランクの固定されていない荷物、ジャッキや スペアタイヤも含みます。

ハブベアリングがこのリストに紛れ込むこともありますが、声が違います。打つ のではなくうなり、音は段差ではなく速度に結び付いています。違いは うなるハブベアリングのまま走ってよいか で詳しく扱っています。

音源の絞り込み

条件考えられる音源
小刻みな段差での鈍い打音ビームのブッシュ
うねりで車体が上下し、同期して打つダンパー、アッパーマウント
大きな穴での鋭い衝撃音バンプストップ、底突き
発進時とブレーキ時の打音締結部、排気系、トランクの荷物
速度とともに増すうなりハブベアリング

家でできる簡単なテスト。リアバンパーを押して車を上下に揺すり、音を聞きま す。揺すって打音が出るならダンパーとその取り付け部です。次にトランクを空 にして同じ道を走ります。音が消えたなら、サスペンションを探す必要はありま せん。三つ目に、乗員や荷物を積んだときに打音が変わるかを見ます。ビームの ブッシュは荷重がかかると目に見えて大きく鳴ることが多く、その事例は 人や荷物を積んだときだけ出る打音 に整理しています。

停車中でも聞こえる音なら、もうサスペンションの問題ではありません。その場 合は アイドリング時のエンジン打音 を参照してください。路面に絡む音の一覧は症状ページ 段差での打音 にあります。

工場でやること

点検はさほど時間がかかりません。車を上げ、取り付け部の近くでバールを使っ てビームをこじり、ブッシュがハウジングに対して動くかを見ます。摩耗したブ ッシュは、ゴムの亀裂、内筒のずれ、特徴的な擦れ跡で分かります。ダンパーは にじみと、サスペンションを伸ばしたときの挙動で判断し、バンプストップはブ ーツを外して目視します。

ブッシュ交換にはプレスかプーラーが要ります。締まりばめで入っているためで、 ビームを部分的に下ろした状態で作業するのが普通です。難しい作業ではありま せんが、五分で終わるものでもありません。

修理の決まり方

基準はガタがどこで見つかったかで、計算は素直です。ビームのブッシュ二個は、 この車の足回りで最も安い修理のひとつです。診断が正しく、ついでに他まで替 えられていなければ、の話ですが。ダンパーは定義上もっと大きな仕事になりま す。左右一組で替えますし、ばらしたついでにバンプストップとブーツも一緒に 交換するからです。

覚えておく価値のある細部がひとつ。ビームの取り付けボルトは、サスペンショ ンに荷重がかかった状態、つまり車が自分の足で立っているか、サスを走行姿勢 に保った状態で締めます。ビームをぶら下げたまま締めると、ブッシュのゴムは 常にねじれたまま生きることになり、数か月で寿命を使い切ってまた鳴り始めま す。修理の直後に音が戻ったなら、まさにここを確認してください。 サスペンション修理後の打音 に詳しくあります。

打音が特定の区間でしか出ず、工場では再現できないときは、その場所を走りな がらStukアプリで録音してください。アプリが録音とあなたの回答を突き合わせ、 考えられる原因を割合で示すので、整備士との会話を具体的な部品から始められ ます。