ディーゼルのバンは厳しい条件で働きます。長距離、常時荷物、 夏の埃っぽい空気。それを最初に受け止める部品がターボチャージャーです。 そしてターボは必ず音がします。音そのものは標準なので、 問題になるのは「鳴っているかどうか」ではありません。 「その音が変わったかどうか」です。正常と問題の境目がどこにあるかを 見ていきます。
正常はどこまでか
健康なターボは、過給に合わせて高くなり、アクセルを戻すと消える、 一定のヒューン音を出します。日によって変わらず、余計な音色が 混じらず、力の低下とも結びつきません。
警戒すべきことが4つあります。ひとつ、音量の増加。ここ数週間で はっきり大きくなった音。ふたつ、音色の変化。一定のヒューンではなく、 唸り、サイレン、ゴリゴリした成分が出てきた場合。みっつ、 音と一緒に力の谷ができる。特に荷物を積んだ登坂で。よっつ、 アクセルを踏んだ瞬間の鋭いシュー音。これはたいていターボではなく 吸気漏れです。ヒュー系の音の全体像は症状ページの 始動時のキュルキュル音に、 そもそも何が正常なのかという話は別記事にまとめてあります。
音が変わった裏側にあるもの
- 吸気漏れ。 ホースの割れ、バンドの緩み、インタークーラーの シールの傷み。いちばん多く、いちばん安い原因です。
- エアフィルターの詰まり。 ターボが入口側の強い負圧で働くことに なり、音が変わって力が落ちます。5分で確認できます。
- 油量不足。 汚れたり潰れたりしたオイルの供給・戻りパイプは シャフトの軸受を殺します。唸りとがたの原因です。
- シャフトとホイールの摩耗。 スラストとラジアルのがたが出て、 ブレードがハウジングに触れ始めます。
- 可変ジオメトリー。 カーボンで固着した可変機構は過給を 不安定にし、しゃくりとエラーコードを出します。
原因の絞り込み
| 点検 | やること | 意味 |
|---|---|---|
| 吸気系の目視 | ホースとバンドを順にたどる | 割れやオイル跡があれば漏れ |
| エアフィルター | 抜いて光にかざす | 詰まっていたら交換して聞き直す |
| 診断機 | コードと過給圧のデータを読む | 圧力のずれは可変機構を示す |
| オイル | 量、状態、交換からの距離 | ターボ寿命の最大の要因 |
| ターボの点検 | シャフトのがた、にじみ、ブレードの状態 | 摩耗の直接評価 |
最初の2つはオーナーが自分でできます。あとは工場の仕事です。 順番が大事で、「ターボが死にかけ」という訴えのかなりの割合が、 ホースかフィルターの交換で終わります。
オイルには特に注意を払う価値があります。ターボのシャフトは 非常に速く回り、すべり軸受で支えられていて、きれいなオイルが 圧送で切れ目なく供給される必要があります。ここから、働くバンに 向けた実用的なルールが二つ出てきます。ひとつ、交換間隔は マニュアルの数字ではなく、使い方に合わせて余裕を見て決めること。 停車の多い市内配送や埃っぽい道は、オイルを早く劣化させます。 ふたつ、荷物を積んで長く走ったあとは、切る前に30秒アイドリングさせて、 熱い金属で焼くのではなく、循環するオイルでターボを冷ますこと。
修理をどう決めるか
判断の基準は上の点検の順番で、これは主張する価値があります。 まず吸気とフィルター、次に診断機、ターボは最後です。 ターボを降ろす作業に同意する前に、吸気系の加圧テストと、 過給圧を目標値と比べることを頼んでください。この二つの答えが、 工賃1時間分でかなりの割合の案件を片づけます。
整備士が必ずしも言わないことが二つ。ターボが本当に摩耗している なら、オイルの供給・戻りパイプも一緒に交換するか洗浄します。 炭化したパイプで給油される新品カートリッジは同じように死にます。 これが再故障のいちばん多い理由です。そして作業後には エンジンオイルとフィルターも新しくします。古い軸受から出たものが まだ系内に残っているからです。
商用車にはもう一点あります。力が落ちるとドライバーはクラッチを 酷使するようになり、次の訴えがそこから来ることがよくあります。 サインは フォード・フォーカスのクラッチフォークの打音と クラッチが摩耗したサインにあります。
ターボの音が変わったのかどうか自信がないなら、Stukアプリで 録音してください。負荷のかかる加速と、アイドリングの2本です。 録音とあなたの回答を突き合わせて、考えられる原因を確率つきで 示します。録音そのものも基準として役に立ちます。1か月後に 比べるものができるからです。