段差を越えた瞬間ぴったりに出て、滑らかな舗装では消えるきしみ。室内の音 のなかでいちばん多いのがこれです。故障を意味することはめったにないのに、 本物の不具合より苛立たせます。街乗りのたびに聞こえるうえ、耳だけでは場 所を特定できないからです。ここでは、なぜ段差が引き金になるのか、一回の 走行で内装と足まわりをどう切り分けるのか、見つけた音源をどう扱うのかを 見ていきます。

なぜ段差で音が出るのか

ボディは弾性的にたわみます。片輪が穴に落ちると、ドア開口部は一瞬だけ 直角を失い、ピラーがわずかに開き、フロアが対角にねじれます。中に付いて いるものはすべてボディに追随しますが、追随の速さがそれぞれ違うため、 合わせ目でごく小さな滑りが起きます。工場で入れられたシールが部品どうし を隔てているうちは、その動きは無音です。テープが乾き、クリップが緩んだ とたん、樹脂が乾いたまま樹脂の上を滑り、きしみます。

ここから実用的な結論が出ます。きしみの大きさは、どれだけ強く揺すられた かではなく、どれだけ左右非対称に揺すられたかで決まります。高速道路の なだらかなうねりは無音で通り過ぎるのに、片輪を縁石に乗せると大合唱に なるのはそのためです。

内装か、足まわりか

目印内装足まわり
音色乾いて高い、樹脂的低めで鈍い、金属的なことも多い
内装を手で押さえたときの反応止まる、または変わる変わらない
停車して車体を揺するたいてい無音きしみが再現する
ハンドルやペダルに伝わるか伝わらない伝わることが多い
窓を開けると車内から聞こえる車外から聞こえる

いちばん早い確認は揺すりです。駐車した状態で、各フェンダーに体重をかけ て押し下げ、離します。車体と内装が相対的に動いていないのにきしみが再現 するなら、下を見てください。乾いたブッシュ、ストラットのアッパーマウン ト、スタビライザーのブッシュ。その一覧は症状ページ サスペンションの打音にあります。

二つ目の確認は、窓を開けたまま速度抑制バンプをゆっくり越えることです。 内装のきしみは小さくなり(音が閉じた空間から出ていくため)、足まわりの きしみははっきりします。

室内で見るべき場所と直し方

まず分かりやすいところから。グローブボックス、小物入れ、トランクを空に します。そのうえで、四つの区画でほとんどの事例が説明できます。ダッシュ ボードとフロントガラス、Aピラーの合わせ目は、目地にフェルトの帯を差し 込むと収まります。ドアの内張りは、緩んだクリップの交換で。シートレール と調整機構は、グリスを一塗りで。リアの荷物棚とその受けは、座面にスポン ジを一片で。室内の音源探しの手順は 室内のカタカタ音ときしみの探し方 にまとめてあります。

原則は乾いた接触すべてに共通です。部品は柔らかい素材で「離す」のであっ て、強く「締める」のではありません。締めると、たいていきしみが隣の合わ せ目に移り、また探し直しになります。

工場に行くべきとき

行く意味があるのは二つの場合です。穴に強くぶつけた直後に急にきしみ出し たとき、あるいは打音や振動、ハンドルの手応えの変化が加わったとき。リフ トの上で疑われるのはいつもの顔ぶれです。スタビライザーのブッシュ、アー ムのブッシュ、ストラットのアッパーマウントベアリング、そして下回りの 締結部です。

点検で足まわりが無関係と分かれば、残ったきしみは見た目の問題であり、 週末にでも、急がずに片づけられます。ただし冬の前に手を打っておく価値は あります。寒くなると、きしむ場所のリストはたいてい増えるからです。

音の出どころについて自分と言い争うのをやめるいちばん確実な方法は、録音 することです。いつもの荒れた区間の手前でStukアプリの録音を開始し、窓を 閉めた状態と開けた状態で二回走ってみてください。アプリは録音とあなたの 回答を突き合わせ、車内と車体の下、どちらを見ればいいかを示します。