夏の車は音の出かたが違い、それが戸惑いのもとになります。春のあいだ静か だった車内が、日なたの駐車場で突然カチカチ鳴り出し、路面の継ぎ目のたび にきしみます。直射日光でダッシュボードが七十度に達することを考えれば、 多くの車にとってこれは季節の当たり前です。暑さで材料に何が起きるのか、 どの音は放っておいても消えるのか、どこで暑さが緩んだ固定を暴いただけな のかを見ていきます。

暑さが材料にすること

樹脂は温まると膨張し、しかも不均一に膨張します。ダッシュボード上面は色 が濃く太陽に向いているため、一時間の駐車で七十度まで上がりますが、同じ 部品の下側は四十度のままです。寸法差は〇・一ミリ台ですが、固定はきつい はめ合いを前提に設計されています。そのため部品が隣を押し始め、応力が摩 擦に勝った瞬間に樹脂が滑ります。無人の車の中で聞こえる、あの単発のカチ ッがこれです。

夕方には同じことが逆に起きます。車内が冷え、部品が縮み、日没後もう一時 間はカチカチが戻ってきます。

ゴムに対しては、暑さのほうが寒さより酷です。ドアのウェザーストリップは 可塑剤を失い——ゴムを柔らかく保っているのがそれです——少しずつ硬くなり ます。新しいゴムは微細な衝撃を吸収しますが、乾いたゴムはそれをきしみと して車体へ伝えます。内装クリップも同様で、ナイロンは高温で軟らかくなり、 クリップは締め代を失い、部品はもともと持っていなかった自由を得ます。

接着はまた別の話です。工場でモールや遮音材を留めている両面テープは、七 十度で流れ始めます。保持はしていますが、部品がその上でわずかに泳ぎ、冬 にも春にもなかった音が生まれます。

季節の音と本物の音の見分け

夏なら正常要点検
日なたでのダッシュボードのカチカチはい、加熱時と冷却時日陰でも鳴る場合
段差でのダッシュボードのきしみはい、樹脂の乾いた接触冷えた車でも鳴る場合
ドアのゴムのきしみはい、ゴムの手入れで直るドアにガタが出た場合
内装裏からのビビリ多くは緩んだクリップ急に出て大きくなる場合
エアコン作動時のチリチリ音コンプレッサーのクラッチ、正常振動を伴う場合

判断は簡単です。夏の音は温度に結びついています。熱い車で出て、車内が冷 えれば消えます。翌朝の冷えた車で聞こえるものは季節とは無関係で、固定の 緩みか摩耗した部品があり、暑さはそれを聞こえやすくしただけです。走行中 の見分けかたは 段差での車内のきしみ に、足回りの段差での音は症状ページ 段差での打音にあります。

暑くなる前にやること

準備は三十分で、夏のきしみの大半を消せます。

  1. ゴムを手入れする。 ドアとトランクのウェザーストリップを拭き、 シリコングリスを塗ります。夏は凍結防止ではなく可塑剤を保つためで、 手入れしたゴムは硬化がずっと遅くなります。
  2. サンシェードを使う。 単独では最も効く一手です。ダッシュボードか ら三十度を奪い、夕方のカチカチも一緒に消します。
  3. クリップを点検する。 冬にきつく収まっていた内装が、夏には動くこ とがあります。パネルの合わせ目を手のひらでなぞり、応える場所を探し ます。
  4. 緩んだ物を片づける。 小物入れの小銭や固定していない荷物は、暑さ の中でよく響きます。熱い空気は音の伝わりかたが違い、ビビリが大きく 聞こえます。
  5. ダッシュボードは別に見る。 夏の音で最も多い発生源です—— ビビるダッシュボード

夏の点検で見るところ

知っておくとよいことが二つあります。シリコンで直るきしみは、しばらく直 ったままです。ゴムの手入れは間に合わせではなく通常の整備で、季節に一度 行うのは普通です。逆に、手入れをしてもクリップを見ても音が残るなら、車 内を探し続けても意味がありません。発生源は外にあり、多くはスタビライザ ーリンクかストラットのアッパーマウントで、暑さで軟らかくなって音を車体 へ渡しています。

季節の音と本物の音を見分けるには、比べるのが一番簡単です。昼間、熱い車 で Pro-Stuk アプリに録音し、翌朝、車内がまだ涼しいうちに同じ道を走って もう一度録ります。朝の録音がきれいなら暑さのせいです。音が残っていれば、 アプリがどの部品から確認すべきかを示します。手で発生源を追う方法は 車内のビビリときしみの見つけかた にあります。