走行中のうなりは、耳だけで場所を絞るのがいちばん難しい音です。ボディが 振動を全長にわたって運び、室内がそれを反射し直すので、オーナーは自信を 持って間違った方向を指してしまいます。よい知らせは、車軸も左右も、印象 ではなく「特定の動作に音がどう反応するか」から割り出せることです。以下 は一回の走行に収まる四つのテストで、たいていは特定のホイールまで絞り込 めます。

車軸を特定するテスト

車線変更。 すいた直線で時速60〜80キロ、軽く左に振り、次に右へ。それ ぞれ数秒キープします。カーブでは荷重が外側のホイールに移り、荷重のか かったベアリングが大きくうなります。左に振ってうなりが強まるなら右側が 容疑者、右に振って強まるなら左側です。これで車軸は分かりませんが、左右 はたいてい分かります。

惰性走行。 音がはっきりする速度まで加速し、ニュートラルに入れます。 うなりが残るなら音源はホイールと一緒に回っているもの。駆動と一緒に消え たなら、エンジン、補機類、駆動系を見ます。

路面を変える。 滑らかな舗装、粗い舗装、コンクリートと、種類の違う 区間を走ります。タイヤの音は路面で変わり、ベアリングの音はほとんど変わ りません。

同乗者と走る。 手伝ってくれる人にまず後席、次に助手席に座ってもらい、 ただ聞いてもらいます。室内の違う場所にいる二人は、一人よりはっきり車軸 を絞れます。確認したい側の窓を開けておくとなおよいです。

結果の読み方

音のふるまい考えられる音源
速度とともに大きくなり、カーブで変わるハブベアリング
速度とともに大きくなるが、カーブでは同じタイヤ、トレッドの偏摩耗
速度ではなく回転数に連動補機類、オルタネーター、ウォーターポンプ
加速時と惰性走行で変わるミッション、デフ、ドライブシャフト
停車したアイドリングでも出るエンジンまたは補機類

最後の行だけで、間違った仮説の半分は落ちます。停車中に聞こえる音なら、 ホイールは無関係だからです。走行中のうなりの総覧は症状ページ 走行中のうなり音にあります。

前軸と後軸で音の届き方が違う理由

前からの音はサブフレーム、ボディのメンバー、ステアリングコラムを通って 室内に届くので、ハンドルを握る手のひらで感じることが多くなります。後ろ からの音はフロアとリアのホイールハウスを伝わり、背中とシートで感じます。 そこから実用的な法則が出ます。うなりにハンドルの振動が加わっているなら 前軸に賭ける。シートが震え、音が後ろのフロア下から来るように感じるなら 後軸に賭ける。

もう一つの手がかりが、窓を開けたときの音量です。前の窓を下げて区間を走 り、次に後ろの窓で繰り返します。いちばん音が大きくなった側と車軸が、 たいてい音源です。粗い方法ですが、窓を開けると差がはっきり出ることが よくあります。

答えをどう使うか

車軸が分かっていると、診断の時間と費用が浮きます。整備士が車全体を総当 たりする必要がなくなるからです。リフトの上では上げたホイールを手で回し て聴き、摩耗したベアリング特有のザラついた音を確かめ、上下に揺すって ガタを見ます。自分でやる手順は ホイールを上げてハブのガタを確かめる にあります。

ベアリングと確定した場合、作業を左右するのは二点です。ハブに圧入する ベアリング単体か、ハブアッセンブリーか。そしてハブナットの締付トルクで、 これが新品ベアリングの寿命を決めます。原因がタイヤだった場合は、偏摩耗 の理由、つまりアライメントか、へたったショックアブソーバーかを聞いてお いてください。原因を直さないまま新品を入れても、同じように減ります。 タイヤとベアリングの切り分けは うなりはハブベアリングかタイヤか で詳しく扱っています。

いちばん楽なのは、Stukアプリの録音を回しながら四つのテストを全部やるこ とです。速度、左右、惰性走行への反応についての質問に答えると、アプリが それを音と突き合わせ、考えられる原因を確率つきで、どのホイールから見る べきかと一緒に示します。