前輪から出るカチカチ音とゴリゴリ音は、ほぼ必ず二つの部品に行き着きます。 一つはアウター側の等速ジョイントで、ホイールを操舵させながら駆動を伝えます。 もう一つはブレーキ機構で、パッドとキャリパーのブラケットとローターが すき間をもった可動の組み合わせを作っています。両方とも同じ場所にあるので、 音色だけで音源を特定することはできません。切り分けるのは音の質ではなく 状況です。ハンドルがどれだけ切れているか、駆動がかかっているか、 そしてブレーキペダルを踏んでいるか。

ドライブシャフト側:舵角と駆動でゴリゴリ

減ったアウタージョイントの典型像は、三つの条件が揃ったときに現れる 乾いた連続音、あるいはガリガリしたゴリゴリ音です。ホイールが大きく 切れていること、車が動いていること、そしてそのホイールに駆動が かかっていること。駐車場で軽くアクセルを踏みながらゆっくり円を描くと、 ホイールの回転に同期したゴリゴリがはっきり出ます。ハンドルを戻すか アクセルを離すと、音は消えます。

圧倒的多数のケースで、根本原因は一つです。ブーツの裂けです。 裂け目からグリスが逃げ、砂と水が入って、ジョイントの軌道面が減り、 すき間が育つ。だから点検の順番でブーツの目視が最初に来ます。 どこまで走ってよいかは カリカリ鳴るドライブシャフトのまま走れるか にまとめてあります。

ブレーキ側:ステアリングと無関係なカチッ

ブレーキのカチカチは別のルールで動きます。力の向きが変わるときに出る、 というルールです。制動のあとの発進、ペダルを最初に踏んだ瞬間、 ブレーキを離すとき。ステアリングは影響しません。原因は定番のもので、 スプリングやシムが失われてブラケットの中でパッドが動く、 ローターの外周に段差がある、スライドピンが固着して動きが断続的になる、 あるいは単にブラケットのボルトが緩んでいる。

条件等速ジョイントブレーキ機構
駆動をかけた深い旋回ゴリゴリ、連続したカチカチ無音
直線路、一定速度無音段差でカチッと出ることがある
ペダルを最初に踏んだとき反応なし単発のカチッ
発進時摩耗が進んでいれば鳴ることもよくある絵柄
フルロックでバックゴリゴリが大きくなる変化なし
目視点検ブーツの裂け、ホイールに飛んだグリスブラケット内でのパッドのガタ、ローターの段差

有効な追加テスト。ハンドルをいっぱいに切ったまま、バックでゆっくり円を 描いてみてください。減ったアウタージョイントは、この走らせ方でいちばん 大きく鳴きます。旋回時のカチカチ音の全体的な目録は症状ページ ハンドルを切るとカチカチ鳴るに、 制動時の打音の切り分けは 制動時の打音:パッドかキャリパーか にまとめてあります。低速でのブレーキ鳴きが加わっているなら 低速でのブレーキ鳴きも 参考になります。

点検で何を見るか

ホイールを浮かせ、ドライブシャフトのブーツを両方とも亀裂と飛んだグリスに ついて点検し、ジョイントのアキシャル方向と角度方向のガタを確認します。 そのあとホイールを外してブレーキ機構を診ます。スライドピンが自由に 動くか、鳴き止めのシムがあるか、パッドとローター外周の状態はどうか。

修理の決め方

ブーツを新品にしてジョイントを生かす作業と、ジョイントを交換する作業の 差額こそが、少なくとも季節に一度はブーツを見ておくべき最大の理由です。 軌道面が減る前なら、ブーツと新しいグリスがジョイントを救います。 減ってしまえば救いません。

もう一つ予算の話。ドライブシャフト一式のほうが、ジョイント単体と その組み付け工賃を足した額より安いことがあります。よく出ている車種では とくにそうです。部品を発注する前にその選択肢を聞いてください。 金額も納期もはっきり変わることがあります。

ブレーキ側で聞くべき質問は、パッドに取り付けキットが付いているかどうかです。 パッドの鳴りを止めるシムとスプリングは消耗品で、これなしで組んだパッドは 数週間でまたカチカチ鳴り始めます。

カチカチ音がときどきしか出ず、リフトの上で再現できないときは、 軽くアクセルを踏んだゆっくりした円の最中と、ペダルを最初に踏む瞬間の 二か所でStukアプリの録音を取ってください。この二つの録音から、 アプリが考えられる原因を確率つきで示し、どの部品から見るべきかを 提案します。