CR-Vの四輪駆動はオンデマンド式です。ふだんは前輪駆動で走り、前輪が 滑り始めたり荷重が変わったりしたときに、カップリングがリアの駆動を つなぎます。このユニットはフルードの中で働き、定期的な整備を前提に 設計されています。そして「後ろからうなり音がする」という相談の背後に いちばん多く隠れているのが、まさにその抜けた整備です。この音をほかの 音と見分ける方法と、工場で何をするのかを説明します。

弱ったカップリングはどう鳴るか

典型的なのは、低速の小回りで出てくるうなり、あるいはブーンという音 です。駐車場での切り返し、車庫への進入、ロータリーの通過。ときには、 車の後ろで何かがつかんでは離すような、ぎくしゃくした感触も一緒に 出ます。直進や速度が乗った状態では、ほとんど聞こえないこともあり ます。

理屈は単純です。小回りでは前後の車輪が走る距離が違うので、カップリ ングは滑り続けることを強いられます。フルードが寿命を迎えていると、 クラッチパックはカクカクと働く。それが耳に届いているわけです。 旋回時の異音というファミリー全体の音の地図は、症状ページ 旋回時のうなり音にあります。

ほかの原因との違い

出どころいつ聞こえるか見分けのポイント
リアカップリング低速の小回りうなりとぎくしゃく、直進では静か
ハブベアリング時速40〜60kmからの直進ゆるいカーブで左右に振ると音が変わる
リアデフ走行中ずっと速度に合わせて音程がなめらかに上がる
アウター側ドライブシャフト駆動をかけた小回りうなりではなくカチカチという音
タイヤどこでも路面が変わると音も変わる

いちばん多い取り違えはハブベアリングです。速度が両者を分けます。 ベアリングは直進を好み、時速40〜60kmから目立ってきます。一方 カップリングは駐車場の速度域と小回りで鳴きます。どちらの条件でも 音があるなら、原因はおそらく二つあります。ベアリング側の切り分けは ジャッキアップしてハブベアリングのガタを確かめるうなるハブベアリングのまま走れるかが 参考になります。

工場では何をするか

最初はほぼ必ず、リア側のフルードの量と状態の確認です。この種の カップリングでは、フルードの規格がとても重要になります。汎用の ギヤオイルは使えませんし、「棚にあったもの」を入れるという選択肢は ありません。フルードの特性はクラッチプレートに合わせて作られていて、 それがユニットがなめらかに働くかカクカクするかを決めるからです。 規格は車種と年式から調べます。ここは二度聞き返す価値のある場所です。

次にリフトアップしての点検(ガタ、ドライブシャフトの状態、漏れ)、 広い場所での旋回を含む試乗。ユニットを開ける話が出るのはそのあと です。多くの場合そこまでは行きません。手遅れになる前に整備した カップリングは、たいてい正常な働きに戻ります。

リフトに上がっているあいだに、ショックアブソーバーの状態も一緒に 見てもらうといいでしょう。車体の動きは荷重の配分を変え、四駆システム の仕事を増やします。判断のしかたは バウンステストでショックアブソーバーを確かめるを どうぞ。

修理はどう決めるか

作業の範囲を決めるのは二つの問いです。ひとつめは、フルードをこれまで 一度でも交換したことがあるか。この整備がオーナーの頭の中にそもそも 存在しない車は多く、距離が伸びてからの初回交換だけで音が消えることが よくあります。ふたつめは、抜いたフルードがどんな状態か。焦げた においのする黒いフルードに金属粉が混じっていれば、クラッチプレートは すでに傷んでいます。二度目の交換では救えません。

工場から聞けたら信頼できる、正直な但し書きがひとつあります。規定 どおりのフルード交換から数千km以内に音が戻るなら、もうフルードでは どうにもなりません。その先はユニットを開けるか、音と付き合うかの 二択です。それをはっきり言う店のほうが、三度目の交換を売る店より 信用できます。

「何かがうなっている」ではなく仮説を持って工場に行きたいときは、 空いた場所で切り返しながらStukアプリで録音してみてください。アプリは 録音といくつかの回答を突き合わせ、考えられる原因を確率つきで示します。 診断にかかる時間が目に見えて短くなります。