エンジンを切って降りたら、ボンネットの下からどこかで空気が抜けるような 均一なシュー音が聞こえてくる。止まっている車から出る音は、いつも以上に 落ち着かない気持ちにさせます。聞き慣れたエンジン音が消え、その静けさの 中では、走行中なら埋もれてしまう音がそのまま耳に届くからです。ただし その中には、まったく正常なものもあれば、一か月後のオーバーヒートに つながる漏れの最初で唯一のサインもあります。切り分け方を説明します。

調子のいい車でも鳴る音

エンジンを止めると、本体は熱を持ったまま、冷却水の強制循環だけが止まり ます。シリンダーヘッドの局所温度は、そこから一、二分はむしろ上がります。 これをヒートソークと呼びます。冷却系はこれに圧力上昇で応え、リザーバー タンクのキャップに入っている弁が余分な蒸気を逃がします。結果として、 一度か二度の短いシュー音になります。暑い日や登り坂のあとに出やすい音 です。

もう一つの正常な音源は、冷えていく排気系です。真っ赤になったマニホールド やフロントパイプが縮み、金属がカチカチ、コツコツと鳴り、熱い部分に付いた 結露がシューと音を立てて蒸発します。この二つに共通するのは、二分から 五分で消えること、そして水たまりもにおいも残さないことです。停止後の ゴボゴボ音は近い話題で、 エンジンを止めたあとのゴボゴボ音 にまとめてあります。

シュー音が漏れを意味するとき

音が均一で、五分から七分を超えても続き、弱まらないなら注意してください。 その種のシュー音は、圧力のかかった液体か気体が小さな穴から吹き出している ときの音です。

多いのは三つです。冷却ホースの微小な亀裂。冷却水が熱いブロックに吹きつけ られて瞬時に蒸発するので、甘いにおいと、ホースバンドまわりの白っぽい析出 物が出ます。ガスケットやシールの劣化。こちらは少しずつにじむだけですが、 跡は必ず見えます。そしてバキュームホースやインテークマニホールドガスケット からのエア吸い。これはエンジンをかけているときにもシュー音が聞こえ、 アイドリングが上下に揺れます。

音源を絞り込む

聞こえ方・見え方考えられる音源緊急度
一、二度の短い抜け音のあと静かになるリザーバータンクのキャップの弁正常
下のほうでカチカチ、コツコツ冷えていく排気系正常
五分以上続く均一なシュー音、甘いにおい冷却水漏れ数日以内
ホースバンド付近の白い析出物としみホース、バンド数日以内
始動中もシュー音、アイドリングが不安定エア吸い数週間以内
ボンネットの下から蒸気、水温計が上がる冷却系が機能していないただちに

実際の確認手順は単純です。走行から一時間おいてエンジンが冷えたら、 ボンネットを開けてホースをバンドの部分と曲がりの部分で見ます。最初の 亀裂はそこに出ます。リザーバータンクの液面を確認して覚えておきます。 一週間後に下がっていれば、車の下に水たまりがなくても漏れています。 ついでにキャップ本体も見てください。ゴムのシールが割れているだけなら、 安い消耗品で済みます。

そのあとどうするか

シュー音が短く、液面が保たれ、においもないなら、何もする必要はありません。 二週間に一度タンクを見ておけば十分です。液面が下がっているなら、診断を 先送りしないでください。冷却系は加圧テストをします。手押しポンプで圧力を かけて、どこから液が出てくるかを見る方法です。短時間で終わり、漏れの箇所 がその場で分かります。

その場面で確認しておきたいことが二つあります。一つは、システムと一緒に キャップも試験したか。弁が圧力を保てなくなったキャップは、ホースがすべて 無傷でもまさにこのシュー音と、じわじわ下がる液面を作り出します。しかも 冷却系でいちばん安い部品です。もう一つは、加圧した状態でウォーターポンプ も見てもらったか。ポンプのシールのにじみは、この状態でいちばんよく現れ ます。

エンジンをかけた最初の数秒に出る音の一覧は、症状ページ 始動時のキーキー音 にまとめてあります。

正常な圧抜きと漏れを耳で区別するのは簡単ではありません。違いは音色では なく、長さと繰り返し方に出るからです。エンジンを切った直後にStukアプリで 録音してください。においや液面、水温についての回答と録音を突き合わせて、 考えられる原因を確率つきで示します。明日すぐ見てもらうべきか、一週間 様子を見ればいいのかが分かります。