タイヤ交換から戻ってきたら、朝はなかった打音が出ている。とくに季節の 履き替えでよくある話です。多くの場合、原因はやはりホイールまわりで、 数分で片づきます。ただしときには、タイヤ交換がたまたま足まわりの摩耗と 重なっただけ、あるいはそれを聞こえるようにしただけ、ということもありま す。以下、多い順に原因を並べます。まずは、いますぐ外さなければならない ものから。
最初はホイールボルト
締付不足の締結は、ホイール交換後の打音のいちばん多い原因であると同時に、 いちばん危険な原因です。発進、ブレーキ、段差で金属的な打音やカチカチが 出て、ハンドルの振動が加わることもあります。待つ理由はありません。停め て、全輪の締付を確認してください。車載工具のレンチでも、近くのタイヤ店 でもかまいません。
正しい締付にはトルクレンチを使います。多くの車で100〜130Nm程度ですが、 正確な数値は取扱説明書にあります。50〜100キロ後の点検増し締めも大事で す。ホイールがハブになじむと、正直に締めた場合でもトルクは落ちることが あります。緩んだボルトのまま走ると、ホイールのテーパー穴とスタッドが 傷み、極端な場合はホイールを失います。だからこの確認がいつも最初なので す。
逆の失敗もあります。インパクトでの締めすぎはスタッドを伸ばし、ブレーキ ローターを歪ませます。ふつう打音は出ませんが、タイヤ交換のあとブレーキ 時のジャダーが出たなら、トルクレンチなしでインパクトだけで組まれていな かったか思い出してみてください。
よくある原因
| 原因 | どんな音か | 確認の仕方 |
|---|---|---|
| ボルト・ナットの緩み | 発進、制動、段差で金属的な打音 | 全輪を増し締め |
| トレッドの石やネジ | 規則的なカチカチ、速度とともに周期が上がる | トレッドを目視 |
| ホイールとキャリパーの間の石 | 一輪からゴリゴリ、キーン、カラカラ | ホイールの内側を覗く |
| キャップ裏のウェイトやゴミ | 不規則なカラカラ、何かが転がる音 | キャップを外す |
| バランスウェイトの脱落 | 打音ではなく時速80〜120キロでのハンドル振動 | バランス取り直し |
| ホイールの歪み、タイヤのコブ | ジャダー、速度域でのうなり混じりの振動 | バランサーで確認 |
| 締結部品やスペーサーの不適合 | 打音、ジャダー、締結の緩み | ボルトとハブリングを規格と照合 |
| 足まわりの摩耗(偶然) | 段差での鈍い打音、以前からあった | 足まわりの診断 |
締結部品とセンター出しは別に触れておきます。ホイールごと替えた場合、 打音と振動が不適合な締結部品から出ることがあります。座面の形が違うボル ト、欠けているハブリング、締めきっていないロックボルト。これは当日中に 確認してください。
打音、振動、うなりは別の訴え
言葉は大事です。それぞれ別の犯人につながります。
- 打音 — 段差や操作のときの短い打撃。締結部品、ホイール内の異物、 足まわり。
- 振動 — 狭い速度域でのハンドルや車体の震え。バランス、ホイールの 精度、タイヤのコブ。
- うなり — 速度とともに大きくなる均一な音。トレッドパターンと摩耗、 まれにハブベアリング。
履き替え後にとくにうなりが出たなら、まず疑うのは新しいセットです。パ ターンもコンパウンドも違えば音も違います。一回の走行でタイヤとベアリン グを切り分ける方法は うなりはハブベアリングかタイヤか に、履き替え直後のうなりについては タイヤ交換後のうなり音にありま す。
15分で自分でできる確認
- 増し締め。 全輪の全ボルトを、対角の順に。レンチがなければタイヤ 店が数分で、たいてい無料でやってくれます。
- トレッドの目視。 溝の石、ネジ、釘の頭。石を掻き出せばカチカチは その場で止まります。
- ホイールキャップ。 外して振ってみます。外れたウェイト、小石、 置き忘れたナットがそこで鳴っています。
- ホイールの裏側。 ホイールとキャリパーの間の石、取り付け時に噛ん だインナーフェンダー。ライトと数分あれば足ります。
- 確認走行。 いつもの道で、どんなときに鳴るかを見ます。小さな段差 か、制動時か、カーブか。この結びつきは探索範囲を一気に狭め、整備士に も役立ちます。
履き替え後にもう一つ見ておきたいのがトランクです。固定していないスペア タイヤ、ジャッキ、外した締結部品の袋は、段差で鈍い打音を出し、「リア サスペンションの打音」を見事に演じます。冗談のようですが、こういう発見 は定期的にあります。
タイヤ店に責任がないとき
車を上げてホイールを付け替える瞬間は、足まわりの音があらためて聞こえる 瞬間でもあります。新しいセットは減ったタイヤより静かで、その静けさを 背景に、ずっと前からあった打音が目立つようになります。小さな段差での 鈍い打音の古典的な犯人はスタビリンクで、点検方法は スタビリンクの打音を点検する にあります。ブッシュやへたったショックアブソーバーも似た音を出します。
症状ページ 段差での打音と サスペンションの打音では、音の 性格と条件別に原因を整理しています。
それでも打音が名乗り出ないときは、録ってしまいましょう。Stukアプリの 録音を開始し、いつもの荒れた区間を走ります。アプリは音とあなたの回答、 つまりいつから出たか、どこで鳴るか、何を交換したかを突き合わせ、考えら れる原因を確率つきで示します。