「ディーゼルみたいな音になった」。ガソリンエンジンが慣れた滑らかさを失い、 窓の外でアイドリングするディーゼルのようにガラガラ、コツコツ鳴り出したと き、多くの人はこう表現します。この名前の故障はありません。これは総称的な 症状で、その裏にはバルブクリアランスから燃料の質まで、さまざまな部品が控 えています。無害なものから深刻なものまで原因を並べ、確認する順序を示しま す。

どういう状態か、どこまでが正常か

ディーゼルがガソリンより騒がしいのは着火のしかたによります。圧縮で混合気 が自己着火し、筒内圧が急に立ち上がるためです。似た荒さがガソリンエンジン に出たなら、意味は二つのどちらかです。機械的なクリアランスが広がり、部品 が打撃を伴って動いているか、燃焼過程そのものが変わったかです。

大事な但し書き。健全なまま設計上ディーゼルっぽく鳴るガソリンエンジンもあ ります。直噴エンジン(GDI、TSI、T-GDIなど)はインジェクターと高圧燃料ポン プの音がはっきり出ます。そのカチカチ音は新車のときからあり、悪化しません。 エンジン本来の声と症状を分けるのは、音の履歴です。

主な原因

原因現れ方緊急度
バルブクリアランスの拡大上から出るカチカチ音、暖まると大きい数週間以内に点検
ラッシュアジャスターの摩耗、劣化オイルカチカチ音、冷間で最も強いまずオイル交換から
タイミングチェーンの伸び前側からのゴロゴロ音、アイドリングで診断、引き延ばさない
ノッキング(デトネーション)負荷時の鋭い金属打音すぐ確認
直噴の高圧ポンプとインジェクター常に一定のカチカチ音音が変わっていなければ正常
排気マニホールドの割れ息継ぎ状のパタパタ音、排気臭計画的に修理

バルブクリアランス。 定番の原因です。摩耗した動弁系が打音を出し、アイ ドリングでディーゼルのように鳴ります。切り分けは ディーゼル的なガラガラ音:インジェクターかバルブクリアランスか にまとめました。

オイルとラッシュアジャスター。 劣化したオイル、粘度違い、あるいは単に 疲れたオイルはアジャスターを鳴らせます。目印は温度との関係です。始動後は ガラガラ言い、暖まると静かになります。 ラッシュアジャスターが鳴るまま走ること も参考になります。

タイミングチェーン。 テンショナーが弱った伸びたチェーンは低いゴロゴロ 音とすれる音を出し、インジェクターのカチカチ音と重なると、特にアイドリン グで説得力のあるディーゼル風になります。耳で張りを見る方法は 音でタイミングチェーンの張りを確かめる に。

排気系。 割れたマニホールドや抜けたガスケットは、気筒に同期してパタパ タ吹きます。ボンネット下の排気臭が手掛かりです。特徴は冷間で最も強く、金 属が膨張して隙間が閉じると弱まること。詳しくは 排気マニホールドガスケット抜けの兆候 にあります。

可変バルブタイミングのアクチュエーター。 摩耗したカムシャフトポジショ ンアクチュエーターはガラガラ、カタカタ鳴り、多くは冷間始動時とアイドリン グで出ます。耳にはエンジン前側からの低いディーゼル的な音として届き、チェ ーンと混同しやすいものです。摩耗したアクチュエーターと伸びたチェーンは同 時に来ることが多いので、なおさらです。 冷間時のカムアクチュエーターのガラガラ音 が見分けの助けになります。

ノッキング:危険な種類

ノッキング、つまりデトネーションは、滑らかではなく爆発的な燃焼です。均一 な火炎面の代わりに混合気が圧力の跳ね上がりを伴って一気に崩れ、衝撃波がシ リンダー壁を叩きます。耳には鋭い金属打音として届きます。典型は、負荷のか かった加速、登り坂、エアコン作動時、特に暑い時期に響く音です。詳しい説明 は症状ページ 加速時のカラカラ音 にあります。

原因はオクタン価の低すぎる燃料、燃焼室のカーボン、オーバーヒート、劣化し たプラグ、あるいはノックセンサーの故障です。現代の制御はノッキングを検知 して点火を遅らせますが、その幅は無限ではありません。常時のノッキングはピ ストンとリングランドを壊します。だからこそ、負荷時に響く音はこのリストで 唯一、先延ばしにできない項目です。給油所を変え、指定オクタン価の燃料を使 い、それでも残るなら診断へ。

安い順に確認する

  1. 燃料。 音がいつ出たかを思い出します。給油の直後なら、別の店で推奨オ クタン価を入れて比べます。
  2. オイル。 量と交換時期を確認します。メーカー指定の新しいオイルは、ア ジャスターのカチカチ音に対して最も安い処方です。
  3. 温度との関係。 冷間か、暖機後か、常時か。工場に着く前に、これだけで 候補が半分になります。
  4. スパークプラグ。 摩耗したプラグは燃焼を乱し、荒い運転状態を招きます。 その状態はエンジンについて多くを語ります。
  5. 診断。 スキャンツールでノックセンサーの故障と点火補正が見え、聴診器 で機械的な打音の位置、バルブ・チェーン・排気を絞り込めます。

工場へ行く前にもう一つ観察しておく価値があるのは、どの運転状態でガラガラ 言うかです。アイドリングだけ、負荷時だけ、冷間だけ、常時。どれも候補を半 分に切ります。厳密に負荷時だけの硬い音はノッキングを、1500〜2000回転で消 えるアイドリングのガラガラ音はチェーンとアジャスターを指します。エンジン 音全般の案内は症状ページ エンジンの打音 に、音の種類ごとの全体図は エンジンの打音:音で分かる原因のすべて にあります。

修理の決まり方

作業範囲は原因がどれだったかでほぼ決まります。だから誠実な工場は、電話口 ではなく点検のあとで金額を言います。先に知っておくとよいことが二つ。ひと つ、多くのエンジンでタイミングチェーンにはエンジン前側から到達するため、 工賃が請求の大半を占め、チェーン交換は響きよりずっと大きな作業になります。 ふたつ、エンジンによってはバルブクリアランスをシムで調整し、そのシムを実 測して個別に手配します。同じような排気量の二台で同じ作業の金額がまるで違 うのは、これが理由です。

出かける前に見当を付けたいなら、Stukアプリでエンジンを録音してください。 アイドリングと、安全にできるなら負荷時の二本です。アプリが録音とあなたの 回答を突き合わせ、考えられる原因を緊急度付きで示します。日常的な調整の話 なのか、先送りしてはいけないノッキングなのかが見えてきます。