4気筒のうち1気筒が働かなくなった状態を、昔のドライバーは「三気筒で走ってる」と 言いました。アイドリングでエンジンが揺れ、回転が乱れ、力が落ち、マフラーから ガソリン臭がすることもあります。そこに打音が加わると、話は平均的なケースより 深刻です。荒い回り方が劣化したエンジンマウントを揺さぶっているか、失火と打音に エンジン内部の共通した機械的原因があるかのどちらかだからです。ここでは両方の シナリオと、探す順番を示します。

失火と打音がしばしば一緒に来る理由

まずは因果のほうです。死んだ気筒があると、クランクシャフトの回転は不均一に なります。エンジンはサイクルごとにガクガクと揺れ、その揺れがマウント、つまり エンジンを吊っているゴムと金属の座を通してボディに伝わります。劣化したマウントは 鈍い打音で応えます。なめらかに回っているエンジンなら聞こえない音です。この シナリオでは打音は結果であり、失火が直れば消えます。

もうひとつのシナリオはたちが悪く、ひとつの機械的な故障が両方を生みます。焼けた バルブは打音を出し、圧縮も保てません。シリンダー内壁の傷は圧縮を下げ、ピストン スカートと一緒に打音を出します。壊れたラッシュアジャスターはカチカチ鳴り、バルブを 本来の量まで開けなくします。ここでは打音は反響ではなく、故障そのものの声です。

グループ別に見た原因

グループよくある犯人気づき方
点火系プラグ、イグニッションコイル、プラグコード負荷時の失火、P030x系のコード
燃料系インジェクター、燃圧どの運転状態でも失火
圧縮バルブ、ピストンリング、内壁の傷常時失火、打音、オイル消費
動弁系ラッシュアジャスター、カム位相、チェーンカチカチ音、冷間時の失火
二次的な結果エンジンマウント揺れに合わせた鈍い打音

よい知らせは、統計的には失火の大半が点火系、つまりプラグとコイルという表のなかで いちばん安い行に落ち着くことです。悪い知らせは、失火と打音が「セットで」来る場合に 限っては、下のほうの高い行に着地することが多いという点です。

死んだ気筒を見つける

第一歩は診断機です。気筒ごとの失火カウンターが見られるので、1気筒だけなのか複数 なのか、常時なのか時々なのかが分かります。第二歩は古典的な入れ替えです。問題の 気筒のプラグとコイルを隣の気筒に移します。失火が部品を追って移動すればその部品が 犯人、元の位置に残るなら原因はその気筒のインジェクターか機械的な部分です。

点火系と燃料系が白なら、次は圧縮の測定です。1気筒だけ圧縮が低ければ、プラグ穴から ファイバースコープを入れて中を見る理由になります。焼けたバルブとシリンダー内壁の 傷を切り分けるのは、この一手です。

打音の質から分かること

打音そのものも出どころを指し示します。アクセルを踏んだり戻したりするときの鈍い 単発の衝撃音は、エンジンマウントの署名です。エンジン上部からの均一なカチカチ音は 動弁系かラッシュアジャスター。負荷が変わるときの鋭い金属音はピストンピンの可能性が あり、まれですが特徴的なケースです。ブロックの下のほうから響く重く、しかも大きく なっていく打音に失火が加わったものが最悪の組み合わせで、これに関しては自走そのものを やめるべきです。

自分の車の振動と音は、症状ページ アイドリング時の振動エンジンの打音 の典型例と聞き比べておくと、電話で整備士に説明するのがずっと楽になります。音の 種類ごとの整理は 音で分かるエンジン打音の原因すべて にもあります。

待つほうが直すより高くつく理由

失火しているエンジンは、自分自身と周囲のシステムを壊していきます。死んだ気筒から 出る未燃焼の燃料はシリンダー内壁の油膜を洗い流し、ピストンリングの摩耗が早まって 内壁に傷が入ります。同じ燃料が触媒の中で燃え尽き、セラミックが溶けます。プラグ 一式で済んだはずの見積書に、触媒の行が加わるわけです。さらに、振動でとどめを刺された マウントも一行増やします。失火と打音の組み合わせは、1週間の遅れが本当に合計金額を 変えるケースなのです。

修理について実用的な注意をひとつ。長く続いた失火で触媒がやられた場合、失火を先に 直さずに触媒だけ交換すると、新しい触媒もそのまま壊れます。失火を治す前に触媒交換を 勧める工場は、順番を間違えています。見積もりのやり取りについては 工場での不要な追加作業を避ける も参考になります。

準備してから行きたいなら、エンジンが回っている音をStukアプリで録音してください。 音を解析し、状況についていくつか質問したうえで、考えられる原因を確率と緊急度つきで 示します。その見取り図が先にあれば、診断も見積もりも自分の目で追いやすくなります。