排気音が理由もなく突然大きくなることはありません。車の音が低く太くなったなら、 系統のどこかに漏れができています。ガスがマフラーの手前で抜け、内部の仕切りを 迂回しているのです。継ぎ目の微細な割れのこともあれば、容器を貫通した腐食穴の こともあります。よい知らせは、音源はリフトに上げればたいてい10分で見つかり、 原因のいくつかは安く直せるということ。ここでは典型的な漏れの場所、その音の特徴、 そして修理を決めるものを整理します。

漏れが出やすい場所

  • メインマフラーとサブマフラー。 容器は結露で内側から、路面の融雪剤で外側から 腐ります。継ぎ目や底が抜けると低いゴロゴロ音になり、アイドリングでも目立ち、 回転とともに大きくなります。
  • フレキシブルパイプ。 エンジンとパイプのあいだにある蛇腹部分です。切れると シューという音とともに吠えるような音が出て、負荷をかけると大きくなり、ボンネットの 下から聞こえることもよくあります。
  • 継ぎ目とガスケット。 触媒のあとのフランジ接合や容器どうしの接合は、ガスケットの 焼けや固着したスタッドで密閉が失われます。音は鋭く、切り裂くようです。
  • エキゾーストマニホールドのガスケット。 エンジンのすぐそばでの漏れです。上から のカタカタ音と吠えるような音で、冷間時に大きくなります。このケースは エキゾーストマニホールドガスケット抜けのサイン に詳しくあります。
  • フロントパイプの割れ。 フレキやマウント付近に多く出ます。振動で金属が疲労 するためで、エンジンマウントがへたっているとなおさらです。

別の信号として、アクセルオフのときに排気系でパンパンと鳴る現象があります。これは 別のメカニズムで、燃料がパイプの中で燃えているものです。症状ページ マフラーからの破裂音 にまとめてあります。

漏れの音と、その場所

音の質大きくなるとき考えられる場所
低いゴロゴロ、スポーツマフラー的な音どの状態でも、回転とともに増すマフラーやサブマフラーの腐食穴
シューという音を伴う吠え負荷時、加速時フレキシブルパイプ、フロントパイプの割れ
鋭く切り裂くようなシュー音アイドリングでフロア付近からフランジ、継ぎ目のガスケット
上からのカタカタ、冷間時に大きい始動後の最初の数分エキゾーストマニホールドのガスケット
ゴロゴロに重なる金属的なビリビリ音段差と加速時吊りゴムの破断、パイプの干渉

段差でのビリビリ音と同時に音量が増したなら、すべてを排気系のせいにしないでください。 吊りゴムが切れて垂れ下がったパイプはボディを叩きますし、足回りも似た音を出します。 症状ページ 車体下からのガタガタ音段差での車体下のガタつき で見比べてみてください。中で崩れた触媒が鳴っているケースは 壊れた触媒のガラガラ音 に、フロント足回りの打音はスタビリンクからロアアームのボールジョイントまで ボールジョイントが壊れるとどれくらい危険か にまとめてあります。

自分で規模を見積もる

第一に、冷えた状態での目視です。懐中電灯を持って系統をたどります。容器に浮いた 錆の粉、継ぎ目の黒いすす(ガスは抜けた場所に必ずすすを残します)、継ぎ目にたまった 結露の湿り跡。すすはほぼ確実な漏れのしるしで、ピットがなくても下を覗いて明かりを 当てるだけで見つかることがよくあります。

第二に、手のひらテストです。エンジンをかけて冷えているうちに、厚手の手袋でテール パイプを2秒ほど短くふさぎます。密閉されている系統なら圧力が手のひらをはっきり押し 返しますが、大きな漏れがあるとほとんど押し返さず、代わりに穴からのシュー音が強く なります。

第三に、鳴り方のパターンを聞くことです。マフラーの手前での漏れは負荷時に音を大きく しますし、容器そのものの穴はどの状態でも均一なゴロゴロ音になります。この観察は 書き留めて整備士に伝える価値があります。リフト上の時間を節約できます。

排気系を長持ちさせる

排気系はいずれ必ず腐りますが、その速さはコントロールできます。系統の最大の殺し屋は 結露です。走るたびに容器に水がたまり、経路が短いと蒸発しきりません。10分の通勤で 生きている車には、定期的に30分ほど流れに乗って走らせてやると効きます。系統が芯まで 熱くなり、乾くからです。

第二の要素は路面の薬剤です。融雪剤は外側から容器を食うので、冬のあとの下回り洗浄は 見た目のためではなく予防です。第三は機械的な要素で、吊りゴムが健全であればパイプは 振動せず、溶接部が割れません。縁石や深いわだちに気を配ることは、容器をへこみから 守ります。腐食はへこんだところから始まることが多いのです。どれも新品マフラーの 値段に見合うような手間ではありません。

修理はどう決まるか

判断基準は穴そのものではなく、穴の周囲の金属の状態です。健全な容器に開いた1か所の 腐食穴なら溶接します。継ぎ目に沿って薄くなっている容器は交換します。疲れた金属に 当てた継ぎ板は数か月しかもたないからです。穴ではなく、その周りの壁を見せてもらって ください。安い修理で済むか、再訪になるかを分けるのはそこです。

整備士が必ずしも言わないことが二つあります。継ぎ目を開けたなら、ガスケットとスタッドは 新品にすること。固着したスタッドは外すときに折れますし、古い金物で組み直した継ぎ目は 数週間でまた漏れます。そして触媒に近い場所の穴はO2センサーの読みも狂わせるので、 燃費が悪化します。つまり漏れを早くふさぐほど、燃料代も含めた全体が安く済むという ことです。触媒そのものの状態が気になるなら 壊れた触媒のまま走れるか も読んでおいてください。

声が変わったのが本当に排気系なのか自信がないときは、エンジンをかけた状態をStukアプリで 録音してください。録音と、どんなときに音が大きくなるかという回答を突き合わせ、考え られる原因を緊急度つきで示します。工場を選びやすくなり、原因探しに余計な費用を かけずに済みます。