インテークでの吹き返しとは、混合気がシリンダーではなくインテークマニ ホールドの中で引火する現象です。ボンネットの下、エアクリーナー側から 鋭い音がして、同時にエンジンが身震いすることもよくあります。原因は大き く三方向にまとまります。薄すぎる混合気、失火、そしてずれたバルブタイミ ング。以下でそれぞれを見て、吸気側と排気側を取り違えないための対照表も 用意しました。

仕組み:なぜ火が吸気側に回るのか

本来、混合気はバルブが閉じたシリンダーの中で燃えます。ところが薄い混合 気はゆっくり燃えます。次のサイクルでインテークバルブが開く時点でまだ火 炎が生きていて、新しい混合気が待っているインテークマニホールドへ火が 抜ける。そこに着火して、あの破裂音になります。

二つ目の仕組みが失火です。燃え残った混合気が、遅れて、しかも間違った場 所で着火します。三つ目は、閉じているはずのバルブが開いていること。これ はバルブタイミングの話です。三つとも似た音を出すので、原因は付随する症 状から絞り込みます。

薄い混合気:二次エアと燃料供給

いちばん多い方向です。コンピューターが見込んだより空気が多いか、燃料が 少ないと、混合気は薄くなります。

  • 二次エアの吸い込み:インテークマニホールド、ホース、ガスケットの ひび割れやシール不良。計測されていない空気が混合気を薄くします。エン ジンをかけているとシューという音で正体が分かることもあります。
  • インジェクターの汚れや不調:本来より噴射量が少なくなります。
  • 弱った燃料ポンプや詰まった燃料フィルター:負荷時にレール圧が落ち ます。
  • センサー:エアフローメーターの誤った値が混合気の計算を狂わせます。

点火とバルブタイミング

点火。 減ったプラグ、リークするコイルやプラグコードは失火を招きます。 混合気が時間内に燃えきらず、遅れて火炎となって出るわけです。このときは 破裂音と一緒に、回転の乱れ、身震い、出力低下が伴います。

バルブタイミング。 タイミングベルトやタイミングチェーンがコマ飛びし た、伸びた、あるいはカムシャフトポジションアクチュエーターが固着した 場合、インテークバルブが早く開き、火炎は当然のように吸気側へ抜けます。 分かりやすい目印は、タイミングベルト交換の直後に鳴りはじめた破裂音。 ほぼ確実に合いマークのミスです。

吸気か排気か:取り違えないために

どこで鳴るか典型的な原因どこを見るか
吸気側、エアクリーナー付近薄い混合気、早すぎるバルブタイミング二次エア、タイミング、インジェクター
排気側、車体後方濃い混合気、失火プラグ、コイル、O2センサー
加速時の鋭い金属音シリンダー内のノッキング燃料、プラグ、カーボン

マフラーからの破裂音は、原因の異なる裏返しの問題です。症状ページ マフラーの破裂音をご覧ください。負荷時 の金属的な音はノッキングで、 加速時のカリカリ音で扱っていま す。ここでは音の出どころが診断の半分なので、誰かに外から、前と後ろで 聞いてもらう価値があります。

診断とリスク

出発点はスキャンツールです。二次エアの主要な目印となる燃料補正値、気筒 ごとの失火カウンター、カムシャフトの相関異常のコードが見られます。二次 エアの吸い込みはスモークテスターで手早く見つかります。

合いマークがずれていた場合、作業前に一つ決めておきたいことがあります。 ベルトをテンショナーとアイドラーごとキットで交換するのか、単に組み直す だけなのか。古いベルトをそのまま掛け直すのは今日は安く済みますが、履歴 の分からない車では偽りの節約です。そのベルトでウォーターポンプを駆動し ているなら、アクセスが同じなのでポンプもリストに入れておきます。

原因探しを長引かせないでください。吸気側での引火はホースを裂き、エアフ ローメーターやセンサーを壊しますし、薄い混合気で走り続けるとバルブと ピストンが過熱します。吹き返しそのものは大惨事ではありませんが、健全な エンジンには現れません。

破裂音がたまにしか出ず、整備士に実演しにくいときは、次の冷間始動や加速 のときにStukアプリで録音を始めてみてください。音を捉え、あなたの回答と 突き合わせ、考えられる原因を緊急度つきで示すので、具体的な材料を持って 工場に行けます。