うなり音とは、回転数とともに音程が上がる、はっきりした音階を持つ音です。ベルトの 滑りと結びついたもっと鋭い「キュルキュル」とも、低く単調な「ゴー」とも違います。 加速時に出るうなりは、回転している部品のどれかが負荷に耐えかねている、という 知らせです。診断の仕事は、それがどれかを突き止めること。候補は10個ほどありますが、 簡単なテストを重ねれば数分で1つか2つに絞れます。
最初のテスト:エンジンか駆動系か
ボンネットの下の部品を一つずつ潰していく前に、ミッションを除外しておく価値が あります。平らな場所に停め、ブレーキを踏み、ニュートラルでゆっくり2500〜3000回転 まで上げます。
停車中にうなりが聞こえるなら、音源はエンジンと一緒に回るもの。補機類、タイミング 駆動、あるいはエンジン内部です。走行中だけ出て、ギアやアクセルオフで変わるなら、 ミッション、ファイナルドライブ、駆動系のベアリングのほうが有力です。
このテストは1分で終わりますが、何時間もの節約になります。「エンジンがうなる」と 言われるケースの半分は、実は駆動系です。特別なケースがCVTで、加速時の均一なうなりは ある程度もともとのものですが、乗るたびに音量が増していくならフルードの量と状態を 確認する理由になります。一定速度でもうなりが付いてくるなら、症状ページ 走行中のうなり音 を見てください。ハブベアリングやファイナルドライブを扱っており、どちらもエンジンの うなりと取り違えられがちです。ミッション側の話は うなるミッションのまま走れるか と オートマチックのうなり:初期のサイン にまとめてあります。
補機類:主な容疑者
停車中にうなりが再現するなら、ファンベルトが回している部品から始めます。
- オルタネーター。 ローターはクランクシャフトの2〜3倍の速さで回るため、摩耗した オルタネーターのベアリングはまっさきにうなります。細い音で、ヘッドライトや熱線を 入れるとはっきり大きくなります。 オルタネーターの鳴き:ベアリングかベルトか も参考に。
- パワステポンプ。 フルード不足や摩耗でうなります。ハンドルを切りきると音が 急に変わるのが特徴です。電動アシストの車にはこの部品自体がありません。電動側の 不具合は 電動パワーステアリングの不具合のサイン をどうぞ。
- アイドラーとベルトテンショナー。 潤滑の切れたアイドラーのベアリングは、やがて ゴリゴリ音に変わるうなりを出します。ステアリングにも電気負荷にも左右されません。 オルタネーターのデカップラープーリーが壊れるサイン も近い話です。
- エアコンコンプレッサー。 スイッチひとつで確認できます。エアコンを入れたときに うなりが出るか大きくなれば、候補は見つかりです。 エアコンコンプレッサーのクラッチが壊れるときの音 を参照してください。
補機のうなりには典型的な進み方があります。最初は加速中の負荷時にだけ出て、数週間 後には回転を上げればいつでも聞こえるようになり、やがて常時鳴ります。音を早く捕まえる ほど修理は安く済みます。最初の段階ならベアリングかアイドリングプーリー1個で足りる ことがほとんどですが、最後の段階まで行くとベルトや周辺部品まで巻き添えになります。
ウォーターポンプとタイミング駆動
より深刻な音源が二つあります。ウォーターポンプは冷却水を回すポンプで、摩耗した ベアリングが負荷時にうなり、プーリーの近くから冷却水がにじみます。引き延ばしては いけません。ウォーターポンプの崩壊はエンジンのオーバーヒートにつながります。 うなるウォーターポンプのまま走れるか と ボンネットの下のうなり:オルタネーターかウォーターポンプか をどうぞ。
タイミングチェーンがうなることはまれですが、ガイドの摩耗した伸びたチェーンは、 加速時にシャラシャラとうなりの中間のような音を、エンジン前方から出します。見分ける 手がかりは、アイドリングでそれに寄り添う金属質のシャラシャラ音です。 耳で確かめるタイミングチェーンの張り を参照してください。加速時に聞こえるのがうなりではなく澄んだ金属音なら、それは別の 症状です。 加速時のキンキン音 を見てください。たいていノッキングと結びついています。
候補を絞る
| うなりのふるまい | 考えられる出どころ |
|---|---|
| 停車中も出る、ライトや熱線で増す | オルタネーターのベアリング |
| ハンドルを切ると変わる | パワステポンプ |
| エアコンを入れると出る | エアコンコンプレッサー |
| ステアリングにも負荷にも無関係、停車中も出る | アイドラー、テンショナー、ウォーターポンプ |
| 走行中だけ、ギアによって変わる | ミッションまたは駆動系 |
| エンジン前方からの金属質シャラシャラを伴ううなり | タイミングチェーン、ガイド |
四輪駆動車でうなりが速度に連動するなら、カップリング側の可能性もあります。 四駆カップリングのうなり が参考になります。
診断のやり方と、修理を決めるもの
うなりの特定には聴診器を使い、エンジンをかけたままプローブをベアリングのハウジングに 当てていきます。第二の手法が、ファンベルトを外しての短時間の始動です。うなりが消えれば 補機が犯人、残ればタイミング駆動かエンジン内部を見ます。ベルトを自分で外すのは、 かけ方を理解している場合に限って意味があります。多くのエンジンではベルトがウォーター ポンプも回しているので、外したまま長く回すのは許されません。
工場に行く前に、三つの事実を準備しておくと役立ちます。何回転でうなりが出るか。 ステアリング、エアコン、電気負荷に反応するか。停車中にも聞こえるか。この答えがあれば 探索は1時間から10分に縮みます。整備士はどの部品を聞けばいいか即座に分かるからです。 走行中の負荷でしか出ないうなりなら、工場はリフト上で回すか、一緒に短く走ることを 求めるでしょう。
部品交換に同意する前に知っておきたいことが二つあります。どのベアリングが見つかった にせよ、ベルトとアイドラーの寿命は同じくらいなので、一緒に交換しても工賃はほとんど 増えません。ベルトはすでに外れているのですから。そしてウォーターポンプが容疑者で、 それがタイミング駆動の内側にあるなら、単独ではなくタイミングキットと合わせて交換を 計画します。同じ場所に二度たどり着くのは、同じ工賃を二度払うことだからです。
うなりは音響診断に向いた音です。はっきりした音階を持っているため、アルゴリズムは 多くの音より自信をもって区別できます。加速時のうなりをStukアプリで録音してください。 録音とあなたの回答を突き合わせ、考えられる原因をそれぞれの緊急度つきで示します。